一橋大 市原ゼミ 新歓ブログ

一橋大学法学部、市原ゼミの新歓ブログです。ゼミの活動や、研究対象の国際関係論についての紹介のほか、国際関係の授業や読書、イベントなどのお役立ち情報などもお届けしていく予定です!一橋法の皆さん、是非お読みください!

そもそも「国際関係論」って?

今回は、少し堅くなりますが、市原ゼミが扱う国際関係論あるいは国際政治学とはそもそも、何を学ぶ学問なのかを紹介したいと思います。

国際関係の授業を既に複数履修した方や、国際関係のゼミを志望している方にとっては「知ってるよ!」な部分もあるかもしれませんが、ゼミ選びに当たってもう一度自分の関心を考える機会にもなると思うので、長いですが、ぜひ読んでみてください…!

 

「国際関係」ってなんだろう-基本単位は「国家」

「国際」「グローバル」…多くの一橋生にとって、もう耳タコな言葉。でも、「国際関係」を学ぶと言ったら、それはいったい何を意味するのでしょう。

国際「関係」ですから、当然そこでは、○○と××という2者以上の活動主体(アクター)がいて、彼らの間の関係を考えていく学問ということになります。問題は、具体的に何と何の関係を見るのか。

 

国際関係論、国際政治学というのは、おおむね、国際社会の構成要素である、国家と国家の関係がベースになります。日米関係、日中関係、米中関係、東アジア国際関係…etc.ニュースでもよく目にする国際情勢というのは、多くが、国家を基本単位とします。

 

国際関係論の成立―「戦争」

ではどんな話題が取り上げられるでしょう。私達戦後生まれの日本人には特に実感しづらいのですが、歴史上、国際関係と言えば最も主要な話題は国と国との戦争でした。したがって、国際情勢の報道も、また国際関係論も、基本的には戦争、または戦争回避について考えることが最もベースにあると言っていいと思います。

こうした現実を受けて、国際関係論という学問領域においては、「なぜ戦争が起こるのか(起きたのか)」「どうすれば戦争を回避できる(できた)のか」が常に問われてきて、様々な議論がなされてきたわけです。

こうした中で、各国が戦争の危険からどのように自国や自国民を守るのか、また、地域秩序をどのように維持するのかを考えるのが「安全保障」です。ですから、国際関係論において、安全保障というテーマは、大きな論点となってきました。当ゼミでも、卒論のテーマとして、各国の安全保障政策を論じる人は数多くいます。

 

国際関係の複雑化ー貿易、文化、歴史など

しかし、特に日本人にとってはそうであるように、今や多くの国にとって、戦争は日常ではありません。「日米関係」や「日中関係」という言葉を使ったとき、わたしたちはすぐに両国の戦争をイメージして語るわけではありませんよね。そこでは両国間の貿易や人々の行き来、文化・歴史の問題や、国際機関での連携などなど、安全保障だけでなく幅広い分野での関係が話題となるはずです。

 かつては、国家にとっては自らの生存に直接かかわる問題である安全保障を「ハイ・ポリティクス(高次元の政治)」、経済などその他の領域を「ロー・ポリティクス(低次元の政治)」と呼んだのですが、今では、その区別は妥当ではないだろうと言われてきています。

この辺の領域になってくると、一橋法では国際政治経済を論じる 山田敦先生が得意分野ですが、現代では安全保障と経済との関係も重要視されるので、市原ゼミでも取り上げていくことになります。

 

国際関係論のアクター拡大-非国家主体

ここまで、安全保障や経済など様々な領域を取り上げましたが、上記の説明には、暗黙の了解があります。それは、基本的な分析単位を「国家」に置いていることです(「国家中心主義」)。

しかし、今日の国際社会、国際政治に影響を持っているのは、国家だけでしょうか…?その答えはおそらく、否、です。

今日の国際政治は、国家間の交渉だけで成り立っているわけではありません。国家以外の、国際政治の分析単位を「非国家主体」と呼びます。

例えば、多国籍企業。現在では、多くの企業が、経済規模の小さい一部の国よりも大きな予算を持って、世界中に活動の場を広げています。時には、ある国の政府が、他の国の政府だけではなく、大きな企業と交渉し取引する場面が生じています。

例えば、NGONPO。国際社会の様々な問題を取り上げて活動するNGONPOは、分野によっては国家以上に大きな影響力を持ちます。のみならず、国家などとも協力して、人権問題などの解決に取り組んだり、国家に対して働きかけたりする場面が増えています。

さらに、テロ組織も、ある種の非国家主体です。テロ組織は明らかに国際社会に大きな影響を与えているし、ISISのように、権力を握っているものも多いわけです。

そして、国連などの国際機関やEUなどの地域組織も、広い意味での非国家主体になります。国家が集まってできているものも多いわけですが、そうであっても、自ら職員を持ち、影響力を持っているわけです。

 

ただし、これらの非国家主体が国家中心の国際政治に影響を与えるのは、いつも、ではありません。これが国家と違うところ。非国家主体は、特定の分野で影響力を発揮します。

非国家主体については、授業で集中的に取り上げているのが山田敦先生です。ただし、これら非国家主体を扱わないというのも、今や国際関係論ではほとんどありませんから、他のゼミでも取り上げています。市原ゼミでも、テロや難民の問題を卒論で扱ったり、ゼミの輪読で読んだりする機会があります。

 

国際関係論の領域拡大ー開発援助、内戦、テロ、環境、人権、ナショナリズムなど

今述べたように、今日の国際関係論では、国家だけでなく非国家主体も取り上げるようになりつつあります。それに伴って、従来、国際関係論ではなくその周辺の分野(比較政治学、国際開発論、国際社会学など)が扱ってきた領域が、国際関係論でも扱われるようになりつつあります。

もともと、国際関係論は「国際」という名の通り、国家の外を見る学問で、国家のなか、国内で起こっていることというのは別領域なのですが、今やその線引きすら曖昧になりつつあります。テロ、内戦、貧困などは、各国の中の問題であると同時に、各国の外にも影響を及ぼすようになってきたからです。

さらに近年では、もっと(国際政治ではなく)国内政治的だと思われていた様々な事象が、国際政治にも影響を与えることが重要になってきました。国内政治上の、例えばアメリカ大統領選挙や、欧州各国の総選挙などは、各国の政治だけでなく、広く国際政治に影響を持つことが、この1年の政治を見ていても明らかだと思います。

 

このように、国際関係論の扱う領域は次第に広くなってきています。

ちなみに、内戦研究で知られるのが、大林一広先生です。また、市原先生は、「民主化支援」を長年テーマの1つにされていて、いずれも、国内政治と国際政治の関わる分野だと言えます。

なお、このブログ書いている僕のテーマは、「(比較政治学の領域とされてきた)民主化を国際関係論に位置づける」ことです。いやこんなマニアックなこと言っても何言ってんだって感じだと思いますが、国際関係論をもっと広げる方向で研究しようとしてるってことです。

 

 さて、今回は以上です。 

次回は、「国際関係論」と「国際関係史」、言い方を変えると国際政治を「理論」から見るか「歴史」から見るか、です。一橋法には、前者のゼミとして、市原ゼミ、大林ゼミ、山田ゼミが、後者のゼミとしてクォンゼミ、青野ゼミ(来年度再開講見込み)があります。おそらく、後者の「歴史」の方がイメージしやすいと思いますが、私たち前者は何をやっているのか、それらはどう違い、どう関係あるのか…。など、説明できたらと思っています。

長くて堅い記事でごめんなさい。本日はここまで。読んでくださってありがとうございました!

※このブログは国際関係論・国際政治学とは何か簡単に紹介することを目的としたものなので、必ずしも厳密な正確さを保証するものではありません(明らかな誤りはないはずですが)。また、市原先生または市原ゼミの公式見解でもなく、ブログ作成者の個人的文章にすぎません。

ゼミ紹介とブログの方針など

こんにちは!当ブログは、一橋大学法学部、市原麻衣子ゼミの新歓ブログです。

まずは簡単なゼミの紹介から…。

 

ゼミ紹介

市原ゼミは2016年新設で、3・4年合同、合わせて14名で活動しています。時間は現在木曜4・5限(カリキュラム改革後どうなるかはまだわかりませんが…)。「国際関係論」「国際政治学」を学ぶゼミで、ゼミ生の卒論テーマは安全保障、EU、国際機関、アメリカ外交、途上国開発、民主化、など様々。先生の主な研究テーマは民主化支援、開発援助、国際政治理論などです。4年生は、昨年度で急遽退官された秋山信将先生のゼミから移籍してきています。

先生の大学プロフィールはこちら

 

ゼミの詳しい説明は、これから少しずつこのブログでもしていきますが、まずは、本日公開された後期ゼミナール紹介冊子の66ページや、もうすぐ公開される商学部挽ゼミさん作成の「ぜみなび」などをご覧いただければと思います。

 

また、twitter (@hu_ichiharazemi)では新歓のイベント情報やゼミの近況などをお伝えしていきます。こちらもぜひフォローしてくださいね!

 

新歓イベント予定

さっそくですが、後期ゼミ共通のゼミ紹介ブースが、来週から西の講義棟で設置されます。市原ゼミは、12/13(火)の昼、203教室です。お昼ごはんを食べながらで結構ですし、他の国際系ゼミとも被っていないので、どうぞお気軽にお越しください!

 また、オープンゼミ(ゼミの様子を公開)を、12/15(木)5限に行います@東1号館1316教室 普段のゼミを知って頂くのが一番だと思いますので、皆さんぜひおこしください!こちらは1月にも開催する方向で調整中です。

 

このブログの内容(予定)

このブログは、3年ゼミ幹が、新3年生の皆さん向けに、当ゼミや国際系ゼミがどんなことを学んでいるのかや、ゼミの魅力などをお伝えすべく、これから最少週1ペース(予定)で更新していきます!※一応断りを入れておきますが、このブログは3年ゼミ幹が個人的に書いているもので、ブログ開設の許可はとっていますが、先生やゼミの公式見解ではありません。昨今色々あるので念のため…。

 

法学部の中に「国際関係論」があるというのは、この大学の大きな特色(というか、変なところ…?)です。でもその分、国際関係と直接かかわりのある授業は法律系と比べて少なく、とっつきづらいところがあると思います。

また、何となく「国際」という単語はよくきくけれど、「民法」や「行政学」のような法学部の他の分野と比べて、何を勉強するのか分かりづらいところがあるかもしれません。

このように多くの法学部生にとってちょっと距離のある「国際関係」が、皆さんにとって少しでも身近なものになれるよう、このブログでは、国際関係とはそもそも何を学ぶのか、その魅力は何かお伝えしていきたいと思います。

 

また、国際関係に興味のある方の中でも、特に市原先生はよく知らない…という方がほとんどだと思います。先生は今年一橋にいらしたばかりで、今年度は学部の授業をHGPしか教えていらっしゃらなかったので、大林一広先生や山田敦先生、青野利彦先生などに比べて接する機会が限られていたと思います。

でも、一度先生に接して頂ければ、必ず!!!、市原ゼミに心惹かれること間違いない!!!、とゼミ幹は思っているので、このブログでも市原先生についてや、他の国際系ゼミとの違いなども触れていきたいと思います。

 

長くなってしまいましたが、初回はここまで。次回からはより具体的な国際系や市原ゼミの紹介をしていきたいと思います。皆さん、ぜひ、当ブログやtwitterなど、ご覧くださいね!

 

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